今回は左藤さなゆき先生の『プリフェクトの箱庭』をご紹介します。
*第一話のネタバレを含む内容となります
あらすじ
ある事情から国内でもトップの名門全寮制ミッションスクール『ロイストン学院』に一般入試でしかも特待生として破格の優秀さで編入してきた佐倉澪斗は周りの金持ちお坊ちゃま達に妬まれいじめを受けながらも屈せずたくましく新しい学園生活をスタートした。
唯一まともな久世湊と友人になり、外部からの編入がどれだけ難しく稀なのかや学院のなかには階級、制度があり優秀で地位のある上級生が指名により下級生を指導生として持てること、それはとても名誉でステータスになっていて指導性になるとカラータイを受けられることなど、いろいろ教えてもらい自分の知らない世界にげんなりしながらもなんとか過ごしていました。
そんなある夜、辛い過去の夢にはっと目を覚ました澪斗は暗闇の中で部屋にさす月明かりに安心します。
自室のある一般棟を出て明るい月の下で気持ちを落ち着かせていると途中で迷子になってしまい、目の前に見える礼拝堂で少し休もうと中に入っていくと勘違いから急に美しい人に押し倒されます。
慌てた澪斗は誤解だと側にあった何かを手に取り押し避けた瞬間、それが古い絵本だと気づき美しい人が「これに触るな」と取り返したその時、澪斗は「とうさん」と涙を流します。
美しい人の部屋で紅茶を頂き、迷い込んでしまった経緯を話していると美しい人は絵本の中にある言葉を澪斗にくれ、そして澪斗はその絵本は父が書いたものだと伝えます。
久世以外に出会ったまともな美しい人と朝まで話をし、明け方に自室に戻った澪斗は久世に寝れなかったのかと心配されながらフラフラの状態で部屋から出ると寮内が騒然としており学院の最上位で礼拝のときにしか見れないと言われている生徒総代が寮に来ていると寮生たちが騒いでいました。
「庶民は出てくるなよ」と弾かれた澪斗の前に現れたのはさっきまで一緒だった美しい人、天上の人という意味を込め”月の君”と呼び名がついている生徒総代・東院月人でした。
『プリフェクトの箱庭』の感想
この作品を初めて読んだとき映画を見終えた感覚になりました。
ストーリーも登場人物の言葉もわかりやすく描かれているのにとても繊細で情緒的で好ましくない人物の苦しささえわかってしまうようなとても豊かな作品です。
ミッションスクールの話と聞くとハイクラスの集りなので想像しにくいように思えますが主人公の澪斗と友人の久世がとても現実的で道徳心をもっているので
そして環境のせいで歪んだ情で育った月人が澪斗と出会いまとも?な心を取り戻していくのですが、そんな中でもいろいろな場面で月人の聡明さが出ているのがとても魅力です。
おわりに
いかがでしたか、この作品は何度も読み直すたびに幸せになれる作品なのでぜひ読んでみてください。